デジタル・アシスタントおよびスキルの概要

Oracle Digital Assistantは、ユーザーのためにデジタル・アシスタントを作成してデプロイできるプラットフォームです。

Oracle Digital Assistantを使用して、次のものを作成します:

  • デジタル・アシスタント。ユーザーが自然言語での会話を介して様々なタスクを実行するために役立つ、AI駆動のインタフェース(一般にチャットボットと呼ばれる)です。デジタル・アシスタントごとに、1つ以上のスキルを作成できます。

  • スキル。在庫のトラッキング、タイム・カードの送信、経費レポートの作成など、特定のタイプのタスクに重点を置いた個別のボットです。

    スキルをデジタル・アシスタントに追加したり、独自のチャネルにデプロイできます。

デジタル・アシスタントとは

デジタル・アシスタントは、様々なアプリケーションやWebサイトを探し出して大量に調べることなく、ユーザーが自然言語での会話を介してタスクを完了するために役立つ仮想デバイスです。各デジタル・アシスタントには、専門のスキルのコレクションが含まれています。ユーザーがデジタル・アシスタントとエンゲージすると、デジタル・アシスタントはユーザー入力を評価し、会話を適切なスキルとの間でルーティングします。

デジタル・アシスタントにスキル・ストア内のスキルおよび自分で設計したスキルを移入できます。

Microsoft Teams、Slackおよび独自のWebアプリケーションやモバイル・アプリケーションなどの様々なチャネルを介して、ユーザーがデジタル・アシスタントを使用できるようにできます。

デジタル・アシスタントが実行する処理

デジタル・アシスタントを使用すると、ユーザーは、統合されたユーザー・インタフェースを使用して複数のスキルと相互作用できます。これを容易にできるように、デジタル・アシスタントは次の機能を実行します。

  • アクセス時にユーザーに挨拶します。

  • ユーザー・リクエストにより、実行できる処理を示し、特定のスキルへのエントリ・ポイントを提供します。

  • 明示的なユーザー・リクエストを適切なスキルにルーティングします。

  • フローの中断を処理します。

    たとえば、ユーザーが別のインテントを示すもの、または別のスキルが必要なものを入力した場合、デジタル・アシスタントは、ユーザーに目的のフローへの遷移を確認するよう求めます。新しいフローが完了すると、ユーザーを前のフローに戻すことを提案します。

  • あいまい性の解消を処理します。

    たとえば、ユーザーが「取り消す」と入力すると、ユーザーに前に行ったリクエストを取り消すか、既存のフローを離れるか、ボットを完全に終了するかを確認することが必要になる場合があります。

  • ボットを終了するリクエストを処理します。

(あいまいなユーザー入力に対して最適な応答ができるように)デジタル・アシスタントの動作を最適化するには、その構成、およびスキルをデジタル・アシスタントに登録する方法の調整が必要になる可能性があります。詳細は、デジタル・アシスタントを参照してください。

スキルとは

スキルは、ユーザーと対話して、特定のタイプのタスク(食べ物のオーダー、予約、連絡先情報の変更など)を実行するように設計された、個別のチャットボットです。各スキルは、ユーザーがテキスト・メッセージおよび単純なUI要素(選択リストなど)によってタスクを完了する場合に役立ちます。

これはメッセージとUI要素を示すボットのイメージです。

基本概念

デジタル・アシスタントとスキルの開発に取り組む前に、知っておく必要がある概念がいくつかあります:

  • インテント—ユーザーがスキルによって実行されることを期待するアクションまたはタスクのカテゴリ。

  • エンティティ—ユーザー入力から情報の重要な部分を特定する変数で、これにより、スキルはタスクを実行できるようになります。

    インテントとエンティティは両方ともNLP (自然言語処理)の一般的な概念です。NLPは、テキストの意図と関連情報をテキストから抽出する科学的な方法です。

  • コンポーネント—スキルがユーザーに応答できるように様々な関数をスキルに提供します。これらは、テキストの出力などの汎用関数の場合があります。または、バックエンドから情報を返し、カスタム・ロジックを実行する場合があります。

  • ダイアログ・フロー—スキルとユーザー間の対話の定義。ダイアログ・フローでは、スキルがユーザー入力に対してどのように応答し、ユーザー入力に従ってどのように動作するかが記述されます。

  • チャネル—デジタル・アシスタントとスキルは、iTunesなどのアプリケーション・マーケットプレイスからダウンロードするアプリケーションではありません。かわりに、ユーザーはメッセージング・プラットフォームまたはクライアント・メッセージング・アプリケーションからアクセスします。プラットフォーム固有の構成であるチャネルはこのアクセスを許可します。1つのデジタル・アシスタントまたはスキルには、様々なサービスで同時に実行できるように複数のチャネルを構成できます。

プラットフォームの機能

Oracle Digital Assistantプラットフォームの主な機能の概要を次に示します。

  • 正規インテントおよび回答インテント スキルのインテントを設計して、一般的なユーザー・リクエストをスキルが実行するタスクおよびアクション別に分類します。通常のインテントでは、ユーザーのメッセージを会話フローにマップします。回答インテントでは、メッセージに対して既成の回答を表示します。
  • 発話テスター。これにより、スキルのインテント解決を繰り返しテストできます。アドホック・テストを実行し、バッチ・テストを作成して保存できます。
  • 組込みエンティティ(ADDRESS、DATE_TIME、DURATION、EMAIL、LOCATION、NUMBER、PERSON、PHONE NUMBER、URLおよびYES_NOなど)。このエンティティを使用して、ユーザー入力から特定のデータを検出できます。
  • カスタム・エンティティ・タイプ(値リスト、導出、正規表現、動的、ML (機械学習)、コンポジット・バッグなど)。

    コンポジット・バッグ・エンティティを使用すると、会話内で全体として処理できるエンティティのグループを作成できます。これにより、ダイアログ・フローの1つの状態内で、複数の属性(タイプ、サイズ、追加のトッピングなどを決定する必要があるピザなど)を持つビジネス・オブジェクトの値を解決できます。複雑なケースの場合、エンティティ・イベント・ハンドラを使用して、コンポジット・バッグ・エンティティ・アイテムの検証、プロンプトおよびあいまいさをプログラムで処理できます。

  • ビジュアル・フロー・デザイナ。これにより、スキルとそのユーザー間の対話のモデルを視覚的かつ宣言的に定義できます。また、個別のフローと再利用可能なフローを使用して、会話をモジュール形式で作成することもできます。
  • バックエンド統合のサポート:
  • SQLダイアログ・スキル: ユーザーの自然言語発話をSQL問合せに変換し、問合せをバックエンド・データ・ソースに送信し、レスポンスを表示します。
  • メッセンジャー・クライアント、モバイル・アプリケーションおよびWebページのチャネル・サポート。ユーザーがデジタル・アシスタントにアクセスできます。Microsoft Teams、Slack、Twilioなどのプラットフォームのサポートが組み込まれています。また、iOSとAndroidのプラットフォームとWebアプリケーションを統合するためのSDKもあります。また、Webフック・チャネルを作成して、サポートされていないプラットフォームと統合します。
  • 音声 Android、iOS、およびWebチャネル用のSDKには、ユーザーがスキルやデジタルアシスタントと直接対話し、適切な応答を得ることができる音声認識機能があります。
  • スキルおよびデジタル・アシスタントのネイティブ言語のサポート。 ネイティブ言語サポートでスキルを開発する場合、複数の言語の理解がモデルに組み込まれます。アラビア語、オランダ語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語およびスペイン語はネイティブにサポートされています。
  • 翻訳サービスのサポート デジタル・アシスタントに含める言語がネイティブ言語サポートに含まれていない場合は、翻訳サービスを使用してユーザー入力を翻訳できます。OCI Language、Google Translation APIおよびMicrosoft Translatorがサポートされています。
  • スキル・ストア: デジタル・アシスタント・インスタンスにプルしてクローニング、拡張またはそのまま使用できるスキルおよびデジタル・アシスタントを提供します。プルしたスキルまたはデジタル・アシスタントを拡張すると、それをカスタマイズできます。その後、スキル・ストアで新しいバージョンが使用可能になったら、カスタマイズを維持しながら新しいバージョンにリベースします。
  • インサイト: スキルおよびデジタル・アシスタントの問題を特定する開発者指向の分析を提供します。チャット・セッション(またはユーザー・セッション)レベルと会話レベルの両方でメトリックを追跡できます。カスタム・メトリックを定義し、ダイアログ・フローでユーザー・フィードバック・コンポーネントを使用して追加データを収集することもできます。
  • 外部イベントおよびアプリケーションによって開始される会話。これにより、外部アプリケーションからユーザーのデジタル・アシスタントとの会話をトリガーできます。
  • データ製造。これは、スキルのトレーニング・データをクラウドソーシングするのに役立ちます。
  • カスタマ・サービス統合: デジタル・アシスタントを次の方法でカスタマ・サービス・アプリケーションと統合できます。
    • DA as an Agent機能を使用してOracle B2C ServiceまたはOracle Fusion Serviceと統合し、デジタル・アシスタントを自動エージェントに変換することで、人間のエージェントとはほとんど同じようにライブ・ヘルプ・チャットに参加します。
    • Oracle B2C Serviceチャットがある場合は、ライブ・エージェント転送機能を使用して、顧客が行き詰っているか不満を感じるたびに会話を人に渡します。
    • Oracle Intelligent Advisorインタビューをスキルに組み込むこと。
    • ナレッジ検索機能を使用して、Oracle B2C Service Knowledge FoundationまたはOracle Fusion Service Knowledge Managementから記事を検索して表示します。

電子メール通知の登録

デジタル・アシスタントの今後の新機能や変更箇所に関する電子メール通知をサブスクライブできます。

サブスクライブするには、Oracle Digital Assistantの右上にあるユーザー・プロファイル・メニューを開き、「サブスクリプション・プリファレンス」を選択します。

  1. デジタル・アシスタントの右上で、ユーザー・プロファイル・メニューをクリックし、「サブスクリプション・プリファレンス」を選択します。
  2. ダイアログで、電子メール・アドレスを入力し、1つ以上のメッセージ・カテゴリを選択します。

    選択したカテゴリの電子メール通知のみを受信します。